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税理士・中小企業診断士 篠川徹太郎事務所

資金移動表 その3

「資金移動表」 について具体的に説明する前に、我々に馴染みのある 「キャッシュフロー計算書」 について説明し、その相違を理解していただいた方がよろしいのではないかと思います。

一般的な中小企業におけるキャッシュフロー計算書は例えば次のようなスタイルになるでしょう。

Ⅰ 営業活動によるキャッシュフロー
  • 税金等調整前当期純利益
  • 減価償却費 (+)
  • 有形固定資産売却益 (-)
  • 売上債権の増加額 (-)
  • たな卸資産の減少額 (+)
  • 仕入債務の減少額 (-)
  • その他の増減額 (+/-)
  • (小計)
  • 法人税等の支払額 (-)
Ⅱ 投資活動によるキャッシュフロー
  • 有形固定資産の取得による支出 (-)
  • 有形固定資産の売却による収入 (+)
Ⅲ 財務活動によるキャッシュフロー
  • 短期借入による収入 (+)
  • 長期借入金の返済による支出 (-)
Ⅳ 現金及び現金同等物に係る換算差額 Ⅴ 現金及び現金同等物の増加額 Ⅵ 現金及び現金同等物の期首残高 Ⅶ 現金及び現金同等物の期末残高

キャッシュフロー計算書の特徴として、次のようなポイントが考えられます。

  1. 出発点が税引前当期利益であること
  2. 減価償却費 (非キャッシュ費用項目) を加算すること
  3. 貸借対照表の期首および期末残高に着目して加算・減算すること
  4. 固定資産売却益などは 「営業活動」 から 「投資活動」 に振り替えること

1.について 出発点を税引前当期利益とすることによって、キャッシュフロー計算書の仕組みは極めて技術的・操作的になっているような気がします。損益計算書の出発点が売上高であるのに対して、あえて損益計算書の終着点である当期利益をキャッシュフロー計算書の出発点に据えることによって、会計士的な後追いの発想を貫き通しているというか、こだわりを感じさせます。

2.について 減価償却費は非キャッシュ項目であると同時に、会計上は恣意的な計上が可能です。したがって、会社の真の実力を見極めようとする場合には捨象すべきでしょう。EBITDA が収益性を測る指標として広く用いられているのと同様の理由です。

3.について 貸借対照表の期首および期末残高に着目して加算・減算するといった手法を理解するためには、ある程度の会計的素養が必要です。例えば、売掛金の残高が増加したことはキャッシュフローにとって有利か不利か? 答えは 「不利」 ですよね! 逆に、買掛金の残高が増加したことはキャッシュフローにとって 「有利」 に働くということになります。

4.について 固定資産売却益など、「営業活動」 においていったん減算して 「投資活動」 に振り替える (加算) するという手続きが必要になります。これもキャッシュフロー計算書が当期利益から出発していることによる技術的な操作に過ぎないということですね。

それで~ 3.についてなんだけど、「回収は早く、支払いは遅く」 することがキャッシュフローにプラスであるという固定観念で、常識外れの支払条件を下請けに強要する会社がたまにあるけど、迷惑なんでやめて欲しいですよね。だって、支払いを遅くすることによるキャッシュフローのメリットは、その条件変更時に限られるわけで、中長期的には平準化してしまってキャッシュフローにプラスに働くわけではないんですよ!

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