消費税は輸出奨励型の税制なんだから、
消費税について人前で話をする機会があった。
消費税の概要について、主として個人事業者の方々に説明するというものだ。
話す内容をあれこれと考えてみて、やはり消費税は輸出奨励型の税制であることを改めて痛感している。
輸出免税の規定はとてもパワフルなもので、仮に100%輸出している企業であれば支払った消費税の全額が還付されるという実においしい規定が消費税法に組み込まれているということは一般にもっと知られたほうが良い。
輸出企業にとって消費税の増税は願ったりかなったり、ということになるわけだ。
資料的な裏付けがあるわけではないけど、ヨーロッパにおける付加価値税率のアップは、税収が足りないという根本的な理由があるにせよ、背景としては各国の輸出奨励策があり、そうした各国の輸出奨励策が付加価値税率のアップに (少なくとも歴史的な経緯としては) 結び付いているんじゃないかと私は勘ぐっている。
輸出奨励策の定番は、通貨の切り下げあるいは通貨安競争と呼ばれているものだけど、消費税率のアップも実は隠れた輸出奨励策であるということは、もっと着目されてもよい論点なんじゃないかと思う。
ヨーロッパはユーロ導入により、域内の通貨切り下げ競争は回避されているので、ターゲットはアメリカおよび日本をはじめとするアジア各国ということになる。
日本も消費税率のアップをもくろむのであれば、円高対策とかそうした輸出振興策のパッケージとして本来は語られるべきだと思うのだが如何。
増え続ける社会保険費を補てんする名目で消費税の増税をするということは、「取れるところから取る」 ということだけであって、政策的な整合性には欠けていると思うのだが。