読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

とりとめのないブログ・・・

税理士・中小企業診断士 篠川徹太郎事務所

消費税増税に係る経過措置

先日、「消費税転嫁対策特別措置法」 について話す機会がありました。

この法律については、ガイドラインなども踏まえつつなるべく分かりやすくお話をさせていただいたつもりなのですが、元々の消費税法について、特にその経過措置のうち 「リース取引」 や 「資産の賃貸借契約」 について充分に理解していなかったこと、反省しております。。。

そこで、これらについて調べた内容をまとめてみることとしました。

リース取引について

リース取引についての消費税法上の規定をまとめてみます。

消費税基本通達5-1-9 において、「事業者が行うリース取引が、当該リース取引の目的となる資産の譲渡若しくは貸付又は金銭の貸付けのいずれかに該当するかは、所得税又は法人税の課税所得の計算における取扱いの例により判定するものとし、この場合には、次のことに留意する。(1)法人税法64条の2第1項{売買とされるリース取引}の規定により売買があったものとされるリース取引については、当該リース取引の目的となる資産の引渡しの時に資産の譲渡があったこととなる」 と記載されており、リース取引における消費税法上の資産の譲渡等の時期については、所得税又は法人税の規定に従うこととされています。

また上記の通り、法人税法64条の2 において 「内国法人がリース取引を行った場合には、そのリース資産の賃貸人から賃借人への引渡しの時に当該リース資産の売買があったものとして、当該賃貸人又は賃借人の所得の金額を計算する」 こととされています。

したがって、リース取引については税法上は原則として売買 (資産の譲渡) としての扱いのため、消費税増税に係る経過措置の適用は原則として無い、ということになります。

しかし、これはあくまでも原則論であって、実務上は 「消費税の仕入税額控除については、事業者の経理実務を考慮して、その時期についてはこれまでも各種の特例を認めているところであり、これと 同様の趣旨から、会計基準に基づいた経理処理を踏まえ、経理実務の簡便性という観点から、賃借人が賃貸借処理をしている場合には、分割控除を行っても差し 支えない」 (質疑応答事例:所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃借人が賃貸借処理した場合の取扱い) こととされています。

こうした実務上の取り扱いを踏まえて、経過措置通達の23や24において、「そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとする処理 (分割控除)」を行っている場合には、その部分については旧税率 (5%) が適用されることが明らかにされています。

そうすると、これは実務上は結構厄介なことになりそうですね。リース契約の時期によって、5%、8%、10%と税率が異なることになるわけで、これらをきちんと区分して会計処理を行う必要が出てくるということになります。

 

資産の賃貸借契約について

消費税が関係してくるのは主として事業用の店舗等の賃貸借ということになりますが、改正消費税法附則5条4項に次のような記載があります。

事業者が、指定日の前日までの間に締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、施行日前から施行日以後引き続き当該契約に係る資産の貸 付けを行っている場合において、当該契約の内容が、第一号及び第二号又は第一号及び第三号に掲げる要件に該当するときは、施行日以後に行う当該資産の貸付 けに係る消費税については、旧消費税法第二十九条に規定する税率による。ただし、指定日以後に当該資産の貸付けの対価の額の変更が行われた場合には、当該 変更後における当該資産の貸付けについては、この限りでない。
 当該契約に係る資産の貸付けの期間及び当該期間中の対価の額が定められていること。
 事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと。
 契約期間中に当事者の一方又は双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないことその他対価に関する契約の内容が政令で定める要件に該当していること。

つまり、指定日 (平成25年10月1日) の前日までに締結した店舗等の賃貸借契約であって、施行日 (平成26年4月1日) 前から引き続き賃貸借を行っている場合には、一定の要件を満たす場合に限り、旧税率が適用されることになります。

問題は、この 「一定の要件」 の中身ということになります。

この件について、「平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」 の問35から問43にかけて具体例が示されているわけですが、ここではかなり幅広いケースにおいて旧税率が適用される要件を満たしているということが明らかにされています。

また、借地借家法の32条には 「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる」 といった規定があり、この規定により半ば自動的に改正消費税法附則第5条第4項第2号の規定を満たすことは出来ないのではないかと考えられなくもないのですが、これについては経過措置通達の18において、「賃貸する者がその貸付けに係る対価につき増減することができる旨の定めがないときは」 (これを私は、「契約上における明文的な定めがないときは」 と解釈しました) 経過措置の要件に該当することとされております。

そうすると、通常の場合の店舗等の賃貸借契約で平成25年10月1日の前日までに締結し、平成26年4月1日前から引き続き賃貸借を行っている場合には、平成26年4月1日以降においても5%の旧税率が適用されると考えておおよそ問題はないものと思われます。

これは、5%の旧税率を適用することが 「できる」 といった規定ではなく、「旧税率による」 といった規定であることに留意が必要かと思われます。

通常の場合、店舗等の契約については2~3年毎の契約更新が一般的かと思われますので、次回の契約更新時においてその時の消費税率を用いて新たな賃貸借契約を締結することになろうかと思います。

また、自動継続条項がある賃貸借契約においては、当初の契約期間のみに旧税率が適用されることが、上記Q&Aの問37で明らかにされています。

shinokawa-office.com