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税理士・中小企業診断士・CFP 篠川徹太郎事務所

消費税の罠:総額表示

消費税の創成期には、「内税方式」なのか「外税方式」なのかということがよく話題になっていたものです。しかし、もはやこれらの言葉は死語になってしまいました。

決定打はやはり、今から6年前の2004年に導入された総額表示の義務化でしょうか。

消費税法第63条の2 : 事業者は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う場合(専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合を除く)において、あらかじめその価格を表示するときは、その消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない。

この規定が6年前に登場したときは、将来の消費税増税の布石であろうと誰もが思ったわけですが、そもそも何故、総額表示が消費税増税の布石なのか、その理由を探ってみた。

確かに、内税方式と外税方式が混在しているような状況は消費者保護の観点から望ましくない、私もそう思います。それでは何故、外税方式をつぶして、総額表示 = 内税方式を強制するのか ・・・・ 私はここに、消費税の増税を推進する側の隠微な意思を感じています。

もしも仮に、消費税が本当に消費者において負担すべきものであるならば、外税方式により消費者が負担する税額を別枠で表示した方が、納税意識も涵養されるし、理にかなっているでしょう。

しかし、そうはしなかった ・・・ その理由は、消費者の負担する税額を分かりにくく不透明にするため、ではないでしょうか?!

外税方式を採用していれば、消費者が負担する税額は明々白々ですし、値引きなどの対象となる金額も本体価格に限定されてきます。もっとも、内税方式 = 総額表示の場合でも、レシートなどを確認すれば税額などは分かりますが、それらの表示はあくまで任意です。

「消費税額を明々白々に表示してしまうと消費者(= 有権者)の反発が強くなる恐れがあるので、ここはひとつ、オブラートに包んで、分かりにくくしておこうじゃないか」 ・・・ こんな会話があったかどうかは知りませんが、消費者の利便性向上という美名の裏側には、こうした思惑がひそんでいたことは間違いない。

ところで、総額表示は事業者間取引については、適用除外になっています。つまり、事業者間の取引においては外税方式により価格の表示を行って差し支えないということです。するとこの場合、私の知っている限りほとんど全ての事業者が外税方式を採用しています。なぜならば、その方が分かりやすいし、なによりも、納付すべき税額をきっちりと確保することができるからです。

事業者 vs. 消費者という構図のなかで、慎重にかつ注意深く、消費者( = 有権者)は消費税の埒外に置かれているということ、お分かりいただけますでしょうか?

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