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税理士・中小企業診断士・CFP 篠川徹太郎事務所

国民健康保険料の計算方法

国民健康保険・2011年度」 で取り上げたのですが、東京23区が今年度から国民健康保険料の計算方法を 「住民税方式」 から 「所得比例方式」 へと変更しています。 shinokawa-office.hatenablog.com

「所得比例方式」 というのは実にシンプルな計算方法であって、例えば給与所得の場合、給与所得控除後の所得金額から33万円を控除した金額に保険料率を掛け合わせ、そこに被保険者数に応じた均等割額を加算してゆくといった計算方法です。

国民健康保険中央会の記事によると、厚労省は、現在は各自治体によって異なる国民健康保険料の計算方法を、平成25年度からはシンプルな 「所得比例方式」 に一本化する方針を固めたとのこと。

しかし、この計算方法、シンプルすぎるんじゃないですか?!

例えば、「扶養控除」 といった概念がまるっきり欠落していること。それどころか逆に、子どもの数が増えれば増えるほど、均等割額に応じて単純に保険料が高くなるという仕組み ・・・・ それは~、子どもが増えればそれだけ医者にかかる可能性も高くなるということかもしれないけど、子どもを健康に育て上げているような家庭に対して、インセンティブがまるで無いどころか理不尽ですらある計算方法なんじゃないですか?

また、「国民健康保険・2011年度」 で行った東京23区についての試算結果からも明らかなように、「所得比例方式」 では 「住民税方式」 と比べて、いわゆる低所得者層の保険料負担が明らかに重くなるのですが、特に有効な対策が無いのであるから、結局は国保離脱者 (無保険者) を増加させるだけなんじゃないですか?!

「保険」 というのは応能負担と応益負担のバランスが重要だと思うのですが、「所得比例方式」 ではそうした配慮などまるで感じられないのです。メリットとしては計算が簡単であるということだけであって、逆に言うと、世帯固有の事情 (障害者控除や寡婦控除、さらには扶養控除) については一切顧慮されない ・・・・ そのことにより、税制改正の影響を受けることなく安定した保険料収入を確保することができるということらしいのですが ・・・・

思考停止しているとしか思えない。

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