ふと書店で手にした本書、トヨタ生産方式の大御所として大野耐一さんのお名前程度は知っていましたが、初めて本書を読んでその面白さに仰天しました。
別に私はトヨタファンではないし、むしろ車選びではアンチトヨタ (スバル⇒マツダと乗継中) ですが、本書で書かれている内容はそういったレベルの話ではないと思います。
サブタイトルが 「脱規模の経営をめざして」 となっていまして ・・・・ これは何かの間違いじゃないかと思いました。
だって、トヨタは規模を追い求めてここまで (世界1の生産台数を争う規模まで) 来たんじゃないの~と言いたくなりますよね。
しかし、生産方式はそうではなかったということがこの本を読むとよくわかります。多品種少量をタイムリーに生産することを至上命令として、創意工夫を積み重ねていった結晶が 「ジャストインタイム」 であり 「かんばん方式」 ということになるのでしょうけど、私としては次のような具体例に驚かされました。
トヨタ自工内部のプレス段取り替えは、昭和20年代、2~3時間を要していた。それが30年代にはいって社内の平準化生産を推進するに従い、1時間を大きく割り込み15分となり、40年代の後半には、わずか3分にまで短縮したのであった。 ・・・・ 言葉に言い表せない努力の所産である。
実は私、こうした努力の歴史があることなど何も知らずに、トヨタ自工のプレス部門である 「スタンピングツール部」 の工場見学に行ったことがあるなんて ・・・・ いまさらながら 「穴があったら入りたい」 くらい恥ずかしく思います。
結局、こうした段取り替えのスピードアップや生産の平準化 (ロットをできるだけ小さくして流れるようにつくるやり方) が実現されなければ、「ジャストインタイム」 などできるわけがない。
中小企業の場合、基本的には受注生産なので 「生産の平準化」 は極めて難しい課題ではありますが、出来るだけ 「ロットを小さくして流れるようにつくるやり方」 へ向けて努力してゆきたいものです。