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税理士・中小企業診断士・CFP 篠川徹太郎事務所

国民健康保険・2010年度

国民健康保険料の計算について、住民税をベースにしている自治体とそうでない自治体があります。

ちなみに、個人住民税には下記の通り標準税率が定められています。

均等割(年額) 所得割
市区町村民税 3,000円 6 %
都道府県民税 1,000円 4 %

所得にかかわらず、10%の固定税率なんですね ・・・・

ただし、例外的に標準税率よりも高い税率(超過税率)を採用している自治体もあります。

私の住んでいる横浜市がその最たるものです !!

神奈川県・横浜市の場合

均等割(年額) 所得割
市区町村民税 3,900円 6 %
都道府県民税 1,300円 4.025%

でもまぁ、日本全国どの自治体でも、個人住民税についてはおおむね標準税率によって計算されていると言ってよいかと思います。

しかし、国民健康保険料は自治体によって大きく違います!

本当は日本全国をフォローしたいところではありますが、えらく大変だし、それに一覧性に乏しくなってしまうので、とりあえずは私にとって身近な自治体と「気になる自治体」をピックアップしてみました。

「気になる自治体」というのは、「もしかしたら移住してもいいかな~」 という程度で、あまり深い意味はありません。

ところで、国民健康保険料の計算方法は、大きく分けて2通りあります。

  1. 所得をベースに、保険料率を掛け合わせるパターン (所得比例方式)
  2. 税額をベースに、保険料率を掛け合わせるパターン (市民税方式)

私の住んでいる横浜市などは「市民税方式」を採用しているので、そちらが主流かと思っていたのですが、全国的にみるとそうではないようです。

むしろ最近では、「市民税方式」から「所得比例方式」に切り替えている自治体が増えているようです。

例えば、2010年度からは武蔵野市(東京都)が「所得比例方式」に切り替えています。2012年度からの年少扶養親族の扶養控除廃止を踏まえたうえでの切り替えのようです。

さて、上記の自治体のうち、1.のパターン(所得比例方式)を採用しているのは、

とりあえず、これら5つの自治体を比較してみると次のようになる。

料率・合計 均等割り・合計 平等割り・合計 上限・合計
町田市 6.05 % 30,900 円 15,000 円 730,000 円
さいたま市 11.29 % 45,500 円 ----- 730,000 円
帯広市 11.30 % 36,500 円 41,500 円 710,000 円
福岡市 14.87 % 37,131 円 40,380 円 730,000 円
那覇市 12.85 % 29,200 円 35,300 円 730,000 円

やはり、自治体によってかなりのバラツキがあるようで、保険料率だけ見れば、福岡市は町田市の倍以上です、というか、町田市はダントツに保険料が安いようだ ・・・

しかし、こんな比較だけではやはり具体性に欠けるので、所得金額によってどのくらい保険料に差が出てくるのか、試算してみよう。

え~と、小学生ぐらいの子どもが2人、専業主婦の奥さんとご主人は40歳以上で、給与所得であると仮定しませう。

そして、前年の給与の総額が、240万円、300万円、500万円、そして800万円の場合について、それぞれの自治体で支払うべき国民健康保険の額は果たしていくらになるのか ・・・ (端数処理は省略しています)

なお、事業所得の場合は、「給与所得控除後の所得金額」を「収入金額 - 必要経費」に読み変えてください。この場合の「必要経費」には、青色申告特別控除(65万円控除もしくは10万円控除)も含みます。

年収 240万円 年収 300万円 年収 500万円 年収 800万円
給与所得控除後の所得金額 1,500,000 円 1,920,000 円 3,460,000 円 6,000,000 円
町田市 194,385 円 219,795 円 312,965 円 466,635 円
さいたま市 296,293 円 343,711 円 517,577 円 730,000 円
帯広市 304,510 円 351,970 円 525,990 円 710,000 円
福岡市 345,891 円 408,345 円 623,131 円 730,000 円
那覇市 287,045 円 341,015 円 538,905 円 708,653 円

むむむむ ・・・・・ やはり、相当なものです。

一応調べてみたんだけど、所得が150万円(月20万円の給料)であっても、この家族構成(子ども2人と奥さん)では、法定の保険料軽減措置の適用を受けることができない ・・・・・ 福岡市などが「きちんと納めましょう」などと言っても、これは相当にきついな、というか無理だろ ・・・・

また、町田市とさいたま市でこんなに違いがあるというのも少々意外な気がします。

次に、2.のパターン(市民税方式)を採用している自治体について試算してみましょう。

同じ「市民税方式」といってもやはり違いがあって、市民税額のみに保険料率を掛け合わせるパターン(横浜市)と、市民税+県民税の合計額(都民税額)に保険料率を掛け合わせるパターン(川崎市大田区)があります。

したがって、保険料率だけを比較しても意味がないので、さきほどの家族(小学生ぐらいの子どもが2人、専業主婦の奥さんとご主人は40歳以上で給与所得・・・事業所得でもいいけど・・・)が、いきなり登場です。

この場合悩ましいのが、前年の社会保険料をいくらに設定するかということ。

「所得比例方式」の場合、社会保険料控除という概念が無いので試算は容易でしたが、「市民税方式」の場合には、前年に支払った社会保険料を控除して市県民(都民)税額を算出することになります。そして、その前年の社会保険料を正確に試算するためには前々年の社会保険料を計算しなければならない ・・・

ということで、社会保険料控除の対象となる前年中に支払った社会保険料の合計額については、適当な数字を入れてますので、悪しからずご了承ください。「適当」といってもその考え方は、国民健康保険料は町田市の試算額程度とし、そこに2名分の国民年金保険料(2名分で年額36万円)を加算します。

また、市県民(都民)税の算出にあたっては、標準税率を適用し、また簡単のため生命保険料控除などは考慮していません。

年収 240万円 年収 300万円 年収 500万円 年収 800万円
給与所得控除後の所得金額 1,500,000 円 1,920,000 円 3,460,000 円 6,000,000 円
社会保険料控除額 500,000 円 500,000 円 750,000 円 850,000 円
人的控除の合計額(4名分) 1,320,000 円 1,320,000 円 1,320,000 円 1,320,000 円
課税所得金額 0 円 100,000 円 1,390,000 円 3,830,000 円
市民税額 3,000 円 9,000 円 86,400 円 232,800 円
市民税+県民税の合計額(都民税額) 4,000 円 14,000 円 143,000 円 387,000 円
横浜市 219,220 円 230,380 円 374,344 円 646,648 円
川崎市 124,785 円 140,285 円 340,235 円 695,368 円
大田区 188,200 円 199,700 円 348,050 円 628,650 円

な~るほど、川崎市の保険料、安いですね。さすがです。

いわゆる低所得者の方でも、これぐらいの保険料ならなんとか ・・・ という気がします。

それでは、お待ちかね(?)のランキング~の発表です!!

年収240万円 年収300万円 年収500万円 年収800万円
優勝 !! 川崎市 124,785 円 140,285 円 340,235 円 695,368 円
第2位 大田区 188,200 円 199,700 円 348,050 円 628,650 円
第3位 町田市 194,385 円 219,795 円 312,965 円 466,635 円
第4位 横浜市 219,220 円 230,380 円 374,344 円 646,648 円
第5位 那覇市 287,045 円 341,015 円 538,905 円 708,653 円
第6位 さいたま市 296,293 円 343,711 円 517,577 円 730,000 円
第7位 帯広市 304,510 円 351,970 円 525,990 円 710,000 円
第8位 福岡市 345,891 円 408,345 円 623,131 円 730,000 円

那覇市さいたま市、それに帯広市は接戦ですけど、低所得者に対する配慮という点で那覇市に軍配があがった。

上位陣は軒並み「市民税方式」の自治体が占めるなか、町田市の健闘が光ります。むしろ、中・高所得者に関しては、町田市が最も保険料の安い自治体であるという調査結果になりました。

福岡市については、今後の頑張りに期待したいと思います。

お住まいの自治体が、上記ランキングのどれぐらいに位置するのか、試算してみてはいかがでしょうか?

以上、国民健康保険・2010年度についてでした。

なお、計算には細心の注意を払っておりますが、思わぬ間違い等お気づきの場合はご指摘ください。

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