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税理士・中小企業診断士・CFP 篠川徹太郎事務所

中小企業の会計に関する基本要領

注目度はさほど高くはないけど、「中小企業の会計に関する基本要領」が策定されまして、中小企業の会計にとってはけっこう画期的なことなんじゃないかと思っております。

中小企業向けの会計ガイドラインとしては、今までは 「中小企業会計に関する指針」 というものがあったわけで、「指針」 と 「基本要領」 の違いが分かりづらいところではありますが、結構重要な違いがそこにはあるのです。

「指針」 は平成17年の会社法の大改正に合わせて策定されたもので、その後毎年改定されています。

問題は、「指針」 が 「毎年」 改定されているってことです。

国際会計基準とのコンバージェンス云々というペダンチックな理由で毎年改定されているわけですが、常々これって意味ないよね~と、思っておりました。

これに対して、今年の2月に公表された 「基本要領」 では、「安定的に継続利用可能なものとする観点から、国際会計基準の影響を受けないもの」 とされています。

また 「基本要領」 は、取得原価主義をベースに税法基準の会計処理 (最終仕入原価法など) も広範に取り入れ、さらに利用上の留意事項として 「保守主義の原則」 や 「重要性の原則」 について触れており、会計情報の開示における主な利害関係者が税務署や金融機関等に限定される通常の中小企業にとっては、シンプルで使いやすいものになっています。

ここにきてようやく国際的・統一的な会計基準などという幻想を追い求めることは止めて、地に足のついた会計基準が策定されたということを歓迎したいと思います。

以下は余談になりますが ・・・

会計基準の変更が税法に影響 (悪影響!) を及ぼした例として 「リース取引」 を挙げることができるのではないでしょうか。 「リース会計基準」 が平成19年に策定されると、慌てふためいたように法人税法第64条の2が制定され、リース取引は原則として売買取引として取り扱われることとなったのですが、やっぱりこれは拙速な対応だったような気がしてなりません。 法人税法の改正に伴って、消費税の課税仕入れについて、リース資産の引き渡し等を受けた日に一括して行う旨の取り扱いに変更されたわけですが (消費税基本通達11-3-2)、たとえば昨今の通信機器類 (ウィルス対策ソフトなど) は、わけのわからない理由で中途解約などはざらに行われているわけで、そんな場合に仕入税額控除の取り戻しがちゃんと行われているのだろうか、確認のしようがないように思われるのです。

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