とりとめのないブログ・・・

税理士・中小企業診断士・CFP 篠川徹太郎事務所

消費税の罠:負担するのは誰?

基本的なことで恐縮ですが、消費税は誰が負担するのでしょうか?

「それは、消費税という名前の通り、消費者が負担するんでしょ?」

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多くの消費税についての議論が、この入口の基本的なところで思考停止しているような気がして、それが残念だし、また、それゆえの危うさを感じます。

もちろん、消費税は消費者が負担するということがまるっきり間違いであるというわけではないでしょう。ただし、その前提条件として、特に小売の段階において、消費税の増税分が100%売価に反映されているということが前提でしょう。

いわゆる100円ショップで、今まで105円のものが110円になるといったようなケースですよね。でも、こんな子供の算数みたいな説明で実際の経済活動が説明できると考える人は本当にいるのでしょうか?? 私には、そちらの方が信じ難い気がします。

だって、例えば、八百屋や町の定食屋それになじみの居酒屋やスナックが、消費税が増税されたからといって、いままで1050円であったメニューを一律に例外なく1100円に値上げすると思いますか??? そんなこと、あり得ない話でしょう。

なかには便乗値上げみたいなケースも出てくることでしょう。しかしこのデフレの世の中、便乗値上げを危惧するよりはむしろ、

消費税増税 ⇒ 物の値段が上がる(かもしれない) ⇒ 節約しよう ⇒ 購買意欲の低下 ⇒ 値上げは出来ない ⇒ 消費税が払えない ⇒ 廃業 ・・・

こういった悪循環に陥ることがより確からしいと思うのです。

ともかく、

消費税は事業者が負担するものです。

これは消費税法の基本中の基本です。

消費税法第5条 事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等につき、この法律により、消費税を納める義務がある。

こんな基本的なことから説明しなければいけないというところに、日本の不幸があるような気がします。

ヨーロッパの「付加価値税」を日本に導入するにあたり、「消費税」などという日本語訳を作り、そのことによりあたかも消費者が税を負担するかのような幻影を作り出す ・・・ その狡猾で偽善的な態度について、我々はもっと声を大にして批判すべきだと思います。

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